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内容目次 |
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● 目で見てわかる遺伝病
−消化器内科編 6 |
| シリーズ企画 |
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| 特集: |
重症新生児・新生児集中治療室におけるゲノム診断と遺伝カウンセリング |
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巻頭言:新生児期から始まるゲノム医療の実装と課題
(武内俊樹) |
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| 1. |
ゲノム診断が新生児集中治療に与えたインパクト
(和田友香) |
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NICUには遺伝学的要因を有する重症新生児が少なくなく,迅速ゲノム診断は新生児集中治療に大きな変化をもたらしている。迅速ゲノム診断は早期診断・早期治療を可能にするだけでなく,不要な侵襲的検査の回避や予後不良例における適切な緩和ケアへの移行にも寄与する。一方で,限られた時間の中でのインフォームドコンセントや親子の愛着形成への影響など,NICU特有の倫理的課題も存在する。迅速ゲノム診断を適切に活用するためには,新生児科医,臨床遺伝専門医,遺伝カウンセラーを含む多職種連携が不可欠である。本稿では,NICUにおける迅速ゲノム診断の臨床的意義と課題について概説する。
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| 2. |
新生児特有のバリアント解釈の課題
(鈴木寿人) |
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重症新生児に対するゲノム解析は迅速診断と治療方針決定に有用である。一方,新生児期は表現型が未完成であること,NICU環境により臨床像が修飾されやすいことにより,候補バリアントと所見の整合性評価に大きな不確実性が生じる。バリアント解釈の不確実性を踏まえたうえで,臨床医,患者家族への結果返却を行う。原因が明らかにならなかった場合,臨床医と解析者が連携し,定期的な症状の再確認,ゲノムの再解析を行う必要がある。
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| 3. |
重症新生児に対するゲノム解析から始まる包括的家族支援と地域ネットワーク
(吉橋博史) |
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重症新生児を対象とした網羅的ゲノム解析は,国内外で臨床的有用性が示されており,早期診断や治療方針決定,次子再発推定などに寄与している。生後早期の集約的治療下における家族の心理的負担は大きく,検査実施や結果説明のタイミングを含め,遺伝カウンセリングの中で配慮すべきことは多い。本邦における重症新生児のゲノム診断と遺伝カウンセリングは,新生児部門と遺伝診療部門を中核とする地域連携型モデルとしての展開が予想される。新生児期から始まるゲノム医療は,家族のライフステージを支える遺伝医療の最初の窓口であり,生後早期から遺伝診療部門が関わる臨床的意義は高い。
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| 4. |
重症新生児における網羅的ゲノム解析の遺伝カウンセリングとテレジェネティクス
(西田千夏子) |
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未診断の重症新生児に対する網羅的ゲノム解析の臨床応用が広まるにつれ,それに伴う遺伝カウンセリングの提供が重要となっている。本稿では,新生児領域における網羅的ゲノム解析の遺伝カウンセリングについて留意点をまとめるとともに,遺伝医療/遺伝専任部門の地域偏在対策の一つとして注目されているテレジェネティクスについて,その利点と留意点,およびPriority-i研究における取り組みを紹介する。
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| 5. |
先天代謝異常と治療
(小川恵梨) |
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新生児・乳児期の先天代謝異常症はNICUにおける重要な鑑別疾患であるが,新生児マススクリーニングでは検出されない「治療可能な代謝疾患」が存在する。これらは筋緊張低下や呼吸障害など脳性麻痺に類似した臨床像を呈するため診断が遅れやすいが,早期に疑い,追加検査や遺伝学的検査へ進むことで,ビタミン補充療法などの特異的治療介入が可能となり,神経学的予後の改善が期待される。本稿では,NICUにおいて見逃してはならない治療可能な神経代謝疾患と診断の考え方を概説する。
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| 6. |
非典型例の診断と新疾患の確立
(中藤大輔) |
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新生児期の遺伝性疾患は症状が非特異的で,既存の疾患概念に合致しない症例が少なくない。近年,迅速ゲノム解析の進展により診断および治療方針決定は大きく前進したが,臨床表現型は成長や時間経過に伴い変化する。本稿では,詳細な臨床評価,遺伝子解析結果の再解釈,症例共有を通じて診断精度を高め,新規疾患概念の確立に至る過程と倫理的課題を整理し,時間軸を考慮した診断戦略と遺伝カウンセリングの重要性を論じる。
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| 7. |
新生児集中治療におけるAI技術を活用した診断支援の高度化
(藤原豊史) |
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新生児集中治療室(NICU)では,限られた時間と断片的な情報の中で診断判断が求められる。本稿では,表現型情報をHuman Phenotype Ontologyにより整理・構造化することを起点に,PubCaseFinder,画像解析,文献知識,大規模言語モデルを組み合わせた診断支援高度化の取り組みを概説した。さらに,Priority-iにおける実装例や,マルチモーダル診断支援システムZebraSeekの設計思想と検証結果を紹介し,診断前段階における情報整理・候補探索を効率化する基盤としての有用性と,NICU診療への実装可能性を示す。
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| 8. |
海外の動向と展望
(齋藤伸治) |
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わが国において2019年からPriority-iとして取り組まれている重症新生児を対象とした迅速ゲノム診断は,海外においてはrapid genome sequencing for critically ill neonatesとして2010年頃から臨床研究が開始された。その迅速性と網羅性から研究としてではなく,すでに商業的に提供されている。さらに,発症前にスクリーニングとしてゲノム解析を行う試みが英国と米国を中心として大規模研究が展開されている。このように新生児医療においては,迅速ゲノム診断は必須の診断基盤であり,わが国においても倫理面での対応を含めた体制の構築が急務である。
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AIが拓く次世代ゲノム医療−ゲノム基盤モデルの技術革新と臨床応用
(荻島創一) |
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シーケンサーの高速化により,ゲノム情報の産生速度はムーアの法則を凌駕し,大規模なゲノム情報の時代が到来した。この膨大な情報を臨床的価値へ転換するため,2024年から2025年にかけてゲノム基盤モデルが急速に台頭している。本稿では,DNABERT-2やNucleotide Transformerに加え,最新のEvo 2,Genos,AlphaGenomeといった大規模ゲノム言語モデルの技術的進展と,Alpha Missense等による変異解釈の精緻化,CRISPR-GPTによる実験自動化の最前線を述べる。さらに,米国・英国・中国の国家プロジェクトやFDAの最新規制動向を俯瞰し,AIが拓くゲノム医療の未来を展望する。
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ゼブラフィッシュを用いた超短期間バリアント判定法の開発
(宮本理史・細野祥之) |
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近年,次世代シークエンシング(next-generation sequencing:NGS)の進歩により,多遺伝子パネル検査(multigene panel testing:MGPT)が臨床実装され,遺伝性腫瘍関連遺伝子の解析機会は大きく拡大した。一方で,病的意義不明バリアント(variants of uncertain significance:VUS)の検出も増加しており,臨床分類に接続可能な機能評価系の整備が重要な課題となっている。本研究でわれわれは,ゼブラフィッシュの幼魚を用いたin vivo 評価系を開発したため,これを報告する。
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● Learning①
〈遺伝性疾患(遺伝病),
難治性疾患(難病)を学ぶ〉 |
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脊髄性筋萎縮症
(佐橋健太郎・勝野雅央) |
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脊髄性筋萎縮症(SMA)では脊髄・下部脳幹の下位運動ニューロンの変性により,進行性の四肢・体幹の骨格筋の筋力低下と筋萎縮が起こる。常染色体潜性の遺伝形式をとり,疾患修飾薬の開発以前は出生約1.1万人に1人にみられ,乳児死亡最多の遺伝性疾患であった。SMAはSMNタンパク質の欠乏により発症する機能喪失型の病態を呈する。SMNはすべての真核細胞で発現し細胞生存に不可欠とされるが,SMAにおいて運動ニューロンの脆弱性を規定するメカニズムの解明は十分とはいえない。一方,SMAの原因遺伝子や疾患修飾因子の同定を契機に,疾患モデルマウスを活用した治療研究が推進され,SMN発現回復治療としてSMN mRNA前駆体スプライシング標的治療とSMN 遺伝子治療の開発に結実した経緯がある。いずれも前臨床研究から臨床試験に比較的迅速に移行し,臨床効果および安全性が証明されており,このSMAにおける成功が神経難病の遺伝子治療開発の加速の一旦を担っている。
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GBA1遺伝子検査とゴーシェ病治療薬エリグルスタット
(三井 純・織茂賢太) |
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ゴーシェ病はグルコセレブロシダーゼをコードするGBA1遺伝子変異により生じるライソゾーム病である。GBA1遺伝子は相同性の高い偽遺伝子を有するため,解析には特異的プライマー設計やロングリード解析が重要である。ゴーシェ病に対して,酵素補充療法に加え,基質合成抑制薬エリグルスタットが登場し,経口治療が可能となった。本薬剤は主としてCYP2D6で代謝され,代謝能多型により血中濃度が大きく変動するため,投与前にCYP2D6遺伝子型の判定が必要である。本稿では,GBA1およびCYP2D6遺伝子検査について概説した。
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CAR-T細胞療法の最近の開発動向
(籠谷勇紀) |
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キメラ抗原受容体(chimeric antigen receptor:CAR)導入T細胞療法は,B細胞性腫瘍と多発性骨髄腫には高い奏効率を示す一方,その他のがん種では十分な治療効果が確立されていない。輸注されるCAR-T細胞の質,特にT細胞の増殖に伴う終末分化と,持続的な抗原刺激に伴う疲弊誘導が機能低下の主な原因である。T細胞の分化や疲弊に伴って生じるエピジェネティック変化に着目して,鍵となる分子を修飾することでT細胞の機能を高められる。シグナルレベルでは,サイトカインシグナルを人工的に付与する研究開発が盛んである。本稿ではT細胞の分化・疲弊について解説した後,これらを制御するための具体的な開発事例を紹介する。
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● Genetic Counseling
〈実践に学ぶ遺伝カウンセリングのコツ〉 |
| シリーズ執筆 |
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20年後までを想像して遺伝学的検査の結果を扱っているか?
(和泉美希子) |
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保険適用の遺伝学的検査は拡充され,標準的な医療として遺伝情報が診断や個別化医療に利用されるようになっている。遺伝学的検査で得られた情報は年数が経過してから改めて利用されることも想定される。10代で遺伝性不整脈の一つであるCPVTと臨床診断されていた女性が,診断から20年後に妊娠を契機に遺伝カウンセリングに来談され,遺伝専門職が主科の医師らとともに対応した。この経験は「20年後までを想像して遺伝学的検査の結果を扱っているか」を考える機会となり,考察も含めて紹介する。
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● CGC Diary
〈私の遺伝カウンセリング日記〉 |
| リレー執筆 |
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● Ties 絆
〈当事者会、支援団体の紹介〉23 |
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遺伝性疾患患者の声−差別と偏見のない共生社会の実現を目指して− 〔ハーモニー・ライン(家族性大腸ポリポーシス患者と家族の会)〕
(土井 悟) |
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● NEXUS
〈ヒト以外の遺伝子に関連する研究〉 |
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ヒト遺伝性疾患モデルとしてのキイロショウジョウバエ
(中山敬介・林 良樹) |
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キイロショウジョウバエは遺伝子研究の古典的かつ最新のモデル生物として,今日までの広範な生命科学研究の発展に大きく貢献してきた。本稿では,キイロショウジョウバエを有用なモデルたらしめる基盤技術や研究資源に触れ,ヒト疾患モデルとしてのキイロショウジョウバエの有用性について述べる。特に,神経疾患や生殖系列の老化要因の研究を中心に紹介する。その中で,この小さな昆虫による基礎研究がヒト疾患理解に直接的に貢献する可能性について,俯瞰的な視点を提供したい。
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| ● 編集後記 |
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