|
内容目次 |
|
● |
序章:分子イメージングの概要 (佐治英郎) |
|
生化学・生物学・臨床診断・治療に適用するために,細胞/分子レベルの生物学的・分子生物学的なプロセスの空間的・時間的分布を in vivo で画像化する分子イメージングが,新たな切り口で生体機能を読み解く新しい研究方法論として注目されている。欧米では,現在国家レベルで大規模な研究が推進されており,わが国でも最近積極的に研究が進められている。本稿では,PET(陽電子放射断層撮影),SPECT(単一光子放射型コンピュータ断層撮影)などの放射線を利用する分子イメージング法を中心に,分子イメージングの概念,欧米および日本における研究体制の現状,医薬品開発への応用の概要を述べる。
|
|
●第1章 医薬品開発に資する分子イメージングの基礎技術 |
1. |
放射性同位元素を用いる分子イメージング:MRI,光イメージングとの比較
(古川高子) |
|
分子イメージングでは様々な手法が用いられているが,なかでも臨床で画像診断に用いられてきたPET・SPECT やMRI,基礎研究で広く使われてきた光イメージングは主要な役割を担っている。PET・SPECT は高い感度と定量性,MRI は高い解像度,光イメージングは高感度と簡便性が特徴として挙げられる。また,PET に用いられる分子プローブについては,低分子においても母体化合物の性質に影響しない標識が可能なこと,光イメージングの分子プローブでは意図する状況のみ光を発するプローブデザインが可能なことなどが利点となる。
|
|
2. |
放射性分子プローブの条件と分子設計
(佐治英郎) |
|
分子プローブは,分子イメージング機器とともに分子イメージングを支える両輪である。この分子イメージングにはいくつもの方法があるが,その中でPET(陽電子放射断層撮影),SPECT(単一光子放射型コンピュータ断層撮影)などの放射線を利用する分子イメージング法は,動物やヒトを直接対象として得ることができることから,本法の医薬品開発への応用が期待されている。そこで,薬や製剤の動態およびその作用点の情報を得るためには薬や製剤自身の標識体が有効であり,また標的部位での薬による受容体占有率,酵素活性への影響,生理機能への影響などを評価するためのバイオマーカー(画像バイオマーカー)として利用するためには標的となる生体内分子に特異的に結合あるいは相互作用する分子の標識体が有効であり,それぞれの目的に適した分子の創製が不可欠である。
ここでは,分子イメージングの医薬品開発への応用に有効な放射性分子プローブに関して,その条件と分子設計について述べる。
|
|
3. |
PET分子プローブの合成法
(土居久志) |
|
PET 研究の源流は生物活性有機化合物の創製とポジトロン(陽電子)放出核種での標識化,つまりPET 分子プローブの開発であり,化学者に対する期待,およびその責任は大きい。本稿では,化学研究としてのPET 分子プローブ合成の魅力と,私達が取り組んできた短寿命放射性核種の導入のための新しい化学的方法論について紹介し,今後のPET 化学について展望したい。
|
|
4. |
ペプチド,タンパク質のPETプローブ化への合成戦略
(長谷川功紀) |
|
近年,バイオ医薬品の開発に合わせて,ペプチド,タンパク質のPET プローブ化研究に注目が集まっている。ペプチド,タンパク質ともに分子構造はアミノ酸が複数つながった構成となるが,PET プローブ化に向けた合成戦略は大きく異なる。ペプチドは化学合成法により特異的部位標識を行い,タンパク質は生物学的調製法で得た活性体を変性しない条件下で非特異的部位標識する。ペプチド,タンパク質それぞれの特性を理解したうえで,その合成戦略を立てることが求められる。ここでは筆者の研究グループで行っている標識化を中心に概説を述べる。
|
|
5. |
オリゴ核酸PET分子プローブの合成法
(窪山剛之・小比賀 聡) |
|
オリゴ核酸のPET プローブ化法は,主に18F を使う方法と金属核種を用いる方法に大別できる。前者としては,FBBA 法,FPyBrA 法,SFB 法などが知られているほか,最近になってわれわれは1-azido-3-(fluoromethyl)benzene 法(AFB 法)の開発に成功している。一方,後者にはDOTA-Ga 法,DOTA-Cu 法などが知られている。本稿ではこれらの方法の概略と,これらを用いた各種オリゴ核酸のPET 分子プローブ化について紹介する。
|
|
6. |
糖鎖の非侵襲的イメージング
(田中克典・深瀬浩一) |
|
著者らは,独自の高速有機合成反応を活用して,アミノ基に対する革新的標識法,および糖鎖エンジニアリング法を開発した。本法を用いて,糖タンパク質の初めてのPET イメージングを実現するとともに,糖鎖付加細胞を活用した新しい癌組織ターゲティングのストラテジーを開拓した。さらに,最近の成果としてリポソームを糖鎖の担体とする炎症や癌のターゲティングの研究例についても併せて紹介し,糖鎖関連物質をトレーサーとする非侵襲的イメージングの最新の成果と医療・診断への展望について述べる。
|
|
7. |
PET分子プローブの自動合成装置
(岩田 錬) |
|
PET 分子プローブ合成を自動的に行う市販の多目的合成装置を紹介する。創薬研究では合成効率よりも繰り返し合成の利便性が求められるが,使用する部品をトレイごと交換するか,使い捨て部品を多用することで主に対応されている。[11C] ヨウ化メチルによる11C- 標識プローブ合成には,[11C] ヨウ化メチルを気相反応で10 回程度繰り返し合成できる装置が便利である。一方,[18F] フッ素イオンによる18F- 標識プローブ合成には数多くの 3方活栓とシリンジを組み合せた装置が主流になっている。また,マイクロリアクターによる分子プローブの合成が近年注目を浴びつつある。
|
|
8. |
PET分子プローブの製造管理・品質管理
(福村利光) |
|
PET 分子プローブによる臨床研究を行おうとする際には,日々安定的な高い品質の分子プローブの供給が前提となるため,PET 分子プローブの製造・品質管理は非常に重要な基礎技術であり,この技術なくして安全で有効性のあるPET を用いた臨床研究は成り立たない。ここではPET 分子プローブのルーチン的な製造について概説するとともに,一般的な品質検査法について紹介を行う。
|
|
9. |
分子イメージング動物実験用PET装置
(和田康弘) |
|
PET は,分子イメージングの中で重要な計測装置の1 つであり,生きた状態の生体内のプローブやその代謝産物の分布状態を画像化することが可能であり,創薬での薬物動態への応用が大いに期待されている。しかし排出系を含めた評価には,従来のPET 画像より非常に高コントラストの画像データを取り扱う必要がある。ここでは小動物実験用PET の高空間分解計測や高コントラスト画像の特性,さらにトランスレーショナルリサーチ時に予想される問題点などを中心に,また望まれるPET 装置と合わせて簡単に説明をする。
|
|
10. |
分子イメージング臨床用PET装置
(平野祥之・飯田秀博) |
|
臨床用PET(positron emission tomography)は,主として癌の診断に利用されているが,国立循環器病研究センターでは虚血性疾患の診断に用いている。本稿では脳循環代謝測定において,どのように脳血流などの診断パラメータが計算されるかを紹介する。さらに解析で用いられるコンパートメントモデルの基礎を述べた後,国立循環器病研究センターで開発されたDARG(dual-tracer autoradiographic)法について紹介する。DARG 法により検査時間が30分程度に短縮された。またマルチモダリティとして,すでに臨床応用されているPET/CT と現在開発が進んでいるMR/PET の問題点や有用性について述べる。
|
|
●第2章 PET・SPECT分子イメージングと医薬品開発 |
|
|
1) |
薬物体内動態の非臨床研究での分子イメージングの利用
(西村伸太郎) |
|
|
PETやSPECT を用いた医薬品開発の方法論としては薬物動態試験,受容体占有率試験,薬理・薬効試験などが考えられる。その中で薬物動態試験への利用は中枢薬や抗癌剤など,ターゲット部位への薬剤移行性が血中濃度推移からでは予測しにくい場合に有効と思われる。非臨床試験においては臨床試験への前段階として方法論の妥当性検討,開発候補品の絞り込みに有効と思われる。実際の薬物動態試験の利用に際しては,開発スケジュールとのタイミング,線形性や動物種差といった点に留意しながら慎重に進める必要がある。
|
|
|
2) |
PET・SPECTを用いたマイクロドーズ臨床試験
(楠原洋之) |
|
|
マイクロドーズ臨床試験では,非標識体や14C 体を用いて,血液中動態や尿・糞中への排泄に関する解析が中心となる。脳や癌,肝臓やウィルス感染臓器など,組織中濃度が薬効発現に深く関わる場合には,PET あるいはSPECT のイメージング技術を利用したマイクロドーズ臨床試験を実施し,標的組織中の移行性までも考慮することで,より有効性の高い薬物を選択することができる。本稿では,マイクロドーズ臨床試験ならびにマイクロドーズPET・SPECT 試験を紹介する。
|
|
|
3) |
放射性イメージング薬ガイダンスの制定に向けて
(矢野恒夫) |
|
|
放射性イメージング薬ガイダンス草案を作成し2010年2月に論文化,同月シンポジウムを開催し,アカデミア,企業,行政当局それぞれの観点から議論した。このシンポジウム発表内容を盛り込んで記述するとともに,現在,治験に適用される厚生労働省審査管理課通知,臨床研究において参照される日本核医学会指針の実現に向けて活発な議論がなされているので,その内容や動向を記述したい。
|
|
|
4) |
PETを用いた臨床試験(治験)におけるGMP
(矢嶋一賀) |
|
|
創薬研究において,PET は非臨床試験から臨床試験まで同一のプロトコルを適用できることから,トランスレーショナル研究の有力なツールとして期待されている。特に近年,PET臨床試験においては,マイクロドーズ臨床試験などが提唱され,その重要性が高まっている。一方で,臨床試験(治験)薬としてPET 薬剤を用いる場合は,必ずGMP に基づき製造・管理を行わなければならない。本稿では,ポジトロン核種の特性から一般の治験薬GMP とは異なる部分について明らかにし,PET 注射剤製造の無菌保証について述べる。
|
|
|
5) |
薬物ターゲティング評価への分子イメージングの利用
(横山昌幸) |
|
|
薬物ターゲティング評価に分子イメージング画像診断がどのように活用されうるかを,現状の説明よりも将来展望に重点を置いて解説する。従来は,薬物ターゲティングと画像診断との間には,それほど密接な関係はなかったが,近年の分子イメージングの概念と研究の進展に従って,両者は互いの技術をより深く利用するようになってきた。最後の項で,著者らが研究する薬物ターゲティングと分子イメージングに共通して用いられる高分子ミセルキャリアについて説明を加える。
|
|
2. |
画像バイオマーカーとしての分子イメージングの利用 |
|
|
1) |
分子イメージングによる受容体占拠率の解析
(谷内一彦・吉川雄朗・古本祥三) |
|
|
PET は臨床診断のみならず,創薬・育薬の効率化を促進するために活発に利用されている。最近では,アルツハイマー病などの蓄積する脳内異常タンパクの定量や遺伝子発現量の解析による遺伝子治療の効果判定などにも活用されている。また新規化合物のヒト体内における挙動を
in vivo で評価できることから,医薬品開発におけるマイクロドーズ臨床試験として創薬分野への導入も進んでいる。本稿では,中枢神経作用薬の開発の必須項目になっている受容体占拠率について,NK-1
アンタゴニストとH1 アンタゴニストを例に紹介する。
|
|
|
2) |
分子イメージングによる薬効・薬物動態解析
(渡辺恭良) |
|
|
PET(positron emission tomography)を用いて,病態の分子医学的把握とその情報を有効に用いた薬効評価,また従来の血中動態だけでない標的臓器・標的細胞・標的分子への薬物動態を捉え合理的な薬剤送達システム(DDS)の評価を行うことができる。特に,「ヒトに対しての創薬」を行っていくために欠くことのできない方法である。ここでは,標的分子や細胞機能に対する適切な探索子(分子プローブ)の創製と分子プローブおよび薬物候補分子へのポジトロン核種標識の具現化に導く研究体制が重要であり,また定量的に困難な小〜中動物のPET 研究を精細に行い,速やかにヒトPET 研究につなげる一気通貫型研究が必須である。
|
|
|
3) |
高比放射能PET分子プローブによる生体微量現象の探索
(井上 修) |
|
|
11Cや18Fなどのポジトロン核種で標識した各種リガンドが開発され,PETによりヒトの神経受容体の解析や,薬物と標的分子との相互作用を測定することが可能となった。脳の情報伝達系の測定においてはおおむね10-9〜10-10M程度の微量な濃度領域を対象としており,PET プローブの比放射能もかなり高いレベルが要求される。一方,生体ではより極微量(pM 以下の領域)での分子間相互作用が生じていると想定される事象が報告されている。これらの極微量濃度領域での現象を探るためには極めて高い比放射能で標識したプローブの開発が必須である。超高比放射能での標識技術の開発とその応用に関してはほとんど未知の領域であるが,PETの有する潜在的可能性の1つとして,その現状について述べることとした。
|
|
|
4) |
用量設定への分子イメージングの応用
(佐々木健至・須原哲也) |
|
|
PET を用いることで,向精神薬の作用点である脳内の受容体およびトランスポーターの分布や,服薬によってそれらがどの程度遮断されているかを,画像化することができる。この手法を用いることで,向精神薬の投与による受容体やトランスポーターの占有率と,臨床効果および副作用との相関が明らかにされつつある。抗精神病薬においても抗うつ薬においても,薬物の血中濃度と脳内占有率には乖離が存在し,血中濃度が低下しても脳内には薬物が長時間とどまるため,合理的な用量・投与スケジュールの決定においてPET による情報は有用である。
|
|
|
5) |
薬物体内動態評価への分子イメージングの利用
(楠原洋之) |
|
|
薬物トランスポーターは体内動態関連因子として,医薬品の細胞膜透過を制御する膜タンパクであり,医薬品の組織分布や,胆汁・尿中への排泄,消化管吸収に関わる。複数のトランスポーターが関わる肝胆系輸送における素過程の分離評価や血液中濃度の測定だけでは機能評価ができない血液脳関門の排出輸送機構を個体レベルで解析するためには,PET やSPECT など分子イメージング技術が不可欠である。本稿では,PET・SPECT など分子イメージング技術を用いたトランスポーター研究として,特に体内動態に関わるトランスポーター研究を紹介する
|
|
|
6) |
血液脳関門での薬剤排出トランスポーター機能評価への分子イメージングの利用
(河村和紀) |
|
|
生きたまま薬剤の動態を評価できる有用なツールであるポジトロン放出断層撮影法(PET)を用いて血液脳関門での薬剤排出トランスポーター機能を評価した。薬剤排出トランスポーターにより脳から排出されてしまう抗癌剤を標識した分子プローブ([11C]gefitinib)をPET により評価することで抗癌剤そのものの動態および薬剤排出機能を評価することができ,また薬剤排出トランスポーター阻害剤そのものを標識した分子プローブ([11C]GF120918 および[11C]XR9576)をPET により評価することで薬剤排出機能を理解することができた。PET による分子イメージングが薬剤排出トランスポーター機能を解明する一助となることが期待される。
|
|
|
|
① |
前臨床評価:特に脳梗塞治療薬について
(塚田秀夫) |
|
|
PET は,単に正常な生体機能の解明や疾患の病態把握のみならず,創薬研究においても候補化合物の分布・動態,治療効果判定,さらには副作用の予測まで,有効な手段となりうると期待される。近年の高分解能PET スキャナの開発は,前臨床段階においてもPET 技術を用いて,齧歯類やサル類を対象にした医薬品の候補化合物の評価を可能にした。本稿では,特にラットおよびサルの脳虚血障害モデルを対象にしたPET イメージングによる病態解明および神経保護薬の候補化合物の評価の可能性を検証することとする。
|
|
|
② |
抗癌剤
(井上登美夫・宍倉彩子) |
|
|
分子イメージングとは,生体内で起こっている生理的または病的な現象を,分子プローブを用いることによって非侵襲的に体外から捉え画像化する手法である。分子レベルで特定の物質を可視化することにより,より正確な診断が得られ,生体の「機能」を見ることを可能にする。画像化のモダリティとしては,基礎生命科学の領域で多く用いられている蛍光イメージング,医療現場で用いられているMRI,CT,超音波検査,PET,SPECT が知られている。その中でもPET は定量性が高い点,標識化合物の物理的投与量が少なく副作用の軽減が期待でき安全にヒトに応用できる点より,医薬品開発の場で期待が集まっている。本稿では,「抗癌剤の治療効果評価への利用」という観点から,PET をモダリティとして利用した分子イメージングを紹介し,近年の傾向について述べる。
|
|
|
③ |
アルツハイマー病治療薬
(岡村信行) |
|
|
アミロイドβタンパク(Aβ)の脳内蓄積はアルツハイマー病(AD)の病態の最上流に位置し,根本治療薬開発の標的とされている。近年開発されたアミロイドイメージング用PET プローブはAβ蓄積量の生体計測を可能とし,薬効評価におけるサロゲートマーカーとして,また治療対象患者のスクリーニング法として,その活用の場が広がっている。また,分子イメージングはコリンエステラーゼ阻害薬の薬理活性や薬物動態を検討する目的でも使用され,用量設定における客観的な指標となる。画像バイオマーカーの標準化をめざした大規模臨床研究が現在進行中である。
|
|
|
④ |
抗精神病薬
(伊藤 浩・小高文總) |
|
|
抗精神病薬の主な作用はドパミンD2 レセプターの遮断作用であるが,この遮断作用はPETによりレセプターの占有率を測定して定量的に評価することができる。レセプター占有率は抗精神病薬未服薬状態におけるドパミンD2 レセプター結合能と抗精神病薬服薬後の結合能から計算され,統合失調症においては70%以上の占有率で治療効果が得られ,80%以上の占有率で副作用が出現することから,抗精神病薬の至適用量の設定に利用されている。レセプター占有率の測定は,テーラーメイド医療や臨床試験への応用など,PET の新しい活用法として期待される。
|
|
|
⑤ |
小動物PETによるラットパーキンソン病モデルの神経傷害性と治療効果判定
(外山 宏・籏野健太郎・鈴木弘美) |
|
|
小動物PETは,生きたままのマウス,ラットの分子レベル・生理的情報を画像化できること,疾患モデルの応用範囲が広いこと,各々の動物をコントロールとして経時的かつ繰り返し測定できること,そのため必要な動物の数・時間・経費を節約できること,組織的な評価がしやすいなどの利点がある。小動物PET と疾患モデルによる研究として,一側ラット線条体への6-hydroxydopamine(6-OHDA)注入によるパーキンソン病モデルラットの神経傷害性と治療効果判定に関する研究について紹介する。
|
|
|
⑥ |
動脈硬化治療薬開発のための分子イメージング
(玉木長良・趙 芫・久下裕司) |
|
|
PET で高頻度に使用されるFDG はブドウ糖代謝を反映するが,動脈硬化病変ではマクロファージ浸潤を反映し,不安定プラークの評価ができる可能性がある。動脈硬化モデル動物を用いた基礎的検討ではFDG が不安定な動脈硬化病変に集積することが示されている。臨床例では大動脈や頸動脈の動脈硬化や炎症性病変にFDG が集積することが示されている。この方法を利用して様々な動脈硬化の治療効果判定に利用されている報告を文献を通して紹介する。
|
|
|
⑦ |
再生医療への分子イメージングの応用
(川﨑俊之・田原 強・宿里充穂・尾上浩隆) |
|
|
生きたままの状態で生体内の分子の動き・働きを捉えることが可能な生体分子イメージング技術は,今や脳梗塞,神経変性疾患,遺伝子異常など,様々な原因で機能不全に陥っている細胞・組織を修復するための再生医療に必須な医用技術となっている。その中でも陽電子断層撮像法(PET)は,様々な分子への標識が可能であり,特異性・定量性が高いなどの特色をもち,これまで客観的な判定が難しかったリハビリテーション,細胞移植治療,遺伝子治療などの再生医療における治療効果の判定や評価,技術・方法論の開発に不可欠な画像診断技術となっている。
|
|
●索引 |