編集後記

 この度,季刊誌「遺伝子医学」の通巻52号を発行できる運びとなりました。
本号の特集のテーマには,「心臓血管疾患の遺伝学的検査と遺伝カウンセリング:2024年日本循環器学会ガイドラインから」を選ばせていただきました。コーディネーターは,今井 靖先生(自治医科大学医学部薬理学講座臨床薬理学部門 教授),稲垣夏子先生(東京医科大学循環器内科学分野 教授)と古庄知己先生(信州大学医学部遺伝医学教室 教授)にお願いしています。2024年に「心臓血管疾患における遺伝学的検査と遺伝カウンセリングに関するガイドライン」の改訂版が発出されたことに合わせての企画です。あらゆる領域でゲノム情報が日常診療に活用されるようになる中で,患者数の多い循環器領域は,がんと並んで急速にゲノム医療が進んでいます。特集では,心臓血管疾患を巡る遺伝医療を扱うガイドラインにおいて,総論だけでなく疾患ごとにも,何がどう変わったのか,なぜ変わったのか,意思決定を含め現場での課題は何なのかを,専門の先生方にていねいに解説いただくことができ,大変魅力的な特集となっています。是非,日常診療にご活用下さい。
 特集以外では,「目で見てわかる遺伝病」の消化器内科編第2回で「遺伝性びまん性胃がん」を,「Research(ヒト遺伝子研究最新動向)」で「重症複合免疫不全症の診断と治療」を,「Learning」で「デュシェンヌ/ベッカー型筋ジストロフィー」と「PGT-A/SRについて」の二つの話題を取り上げました。また,「Method」では「臨床検体を用いた希少がん研究の課題と展望」を解説いただいています。「Genetic Counseling」では,「AYA世代のLi-Fraumeni症候群における包括的支援」に関して,実践的な内容を紹介いただきました。「Ties 絆(当事者会,支援団体の紹介)」では,クリーフストラ症候群日本家族会様にご執筆いただきました。「CGC Diary(私の遺伝カウンセリング日記)」のリレー執筆も,途切れることなく継続しています。
 最後になりますが,本誌編集にご協力いただきました皆様に心より御礼申し上げるとともに,次号以降の本誌の発刊に関しましても,引き続きご指導賜りますようお願い申し上げます。

令和7年5月22日
編集委員
愛知県がんセンター研究所
井本逸勢