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拡大新生児マススクリーニング
〜それは赤ちゃんの将来へ向けたお守り〜
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酒井規夫1)・濱﨑考史2)
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1)医誠会国際総合病院難病医療推進センター 副センター長 |
2)大阪公立大学大学院医学研究科 発達小児医学 教授 |
2025年の新年にあたり,本特集「拡大新生児マススクリーニング(eNBS)の現状と今後の展望」を皆さんにお届けできることは,コーディネーターとして望外の喜びであります。本特集は濱ア考史先生と2人で拡大新生児マススクリーニングに関する特集号を組むにあたって,どんな構成で誰に依頼するかを検討させていただきました。
新生児マススクリーニングは小児科診療の中でも予防医学の一つの柱であるとともに,公衆衛生事業として重要なものとして,1977年の5疾患から始まり,2014年からはタンデムマスを用いて20疾患余りの先天代謝疾患を発症前に診断し,診療することにより,多くの小児の人生を変えてきました。それが2020年頃からさらに対象疾患が拡大しつつあり,2024年3月にはSCID,SMAの新生児マススクリーニングが国の実証事業となり,他にライソゾーム病などを含む疾患のスクリーニングが公費負担ではないながら,国内の半分以上の地域において広まっている状況となっております。この拡大新生児マススクリーニングがまさに広がりつつある時期に,本特集号はその現状と意義・課題について最先端で担当されているキーパーソンの先生方のご寄稿をいただきましたので,この新生児マススクリーニングの「胎動」を直に感じていただけるような特集となったと自負しております。
構成としては目次を見ていただければわかるように,日本における歴史,世界の現状,そして日本の現状,疾患選択の課題,代表的な地域の詳細状況,そして2疾患の実証事業の進行,疾患ごとのスクリーニングの意義と課題,検査の精度管理,遺伝カウンセリングの関わり,そして患者会からの意見まで非常に多面的・網羅的な話題を取り上げることができました。改めて執筆者の皆さんにお礼を申し上げたいと思います。
ぜひ,新生児マススクリーニングに関心のある方には,本特集を手に取っていただき,新生児マススクリーニングの「今」を感じていただければと思います。そしてこの事業が「赤ちゃんの将来へ向けたお守り」*としてさらに発展するためにはどうしたらいいのか,ぜひ一緒に考えていただければと思っております。
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https://www.youtube.com/playlist?list=PLcRTSoVThJeo14sugUhGmsllNwLoliP_V |
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