編集後記

 この度,多くの皆様のご協力をいただき,季刊誌「遺伝子医学」の通巻50号・復刊25号を発刊できる運びとなりました。本号の特集は,「ELSI・PPI最前線」で,コーディネーターは,東京大学医科学研究所ヒトゲノム解析センター公共政策研究分野の武藤香織教授,東北大学東北メディカル・メガバンク機構広報戦略室の長神風二教授,東京科学大学大学院医歯学総合研究科先進倫理医科学分野の吉田雅幸教授にお願いいたしました。本邦においてゲノム医療やゲノム研究がますます拡大する中で,これらの推進や成果発信におけるjustice,diversity,equity,inclusionを担保した広報や報道のあり方,患者・市民参画や遺伝子差別の現状,データやベネフィットのシェアリングの実情など,幅広い話題に関してご専門の先生方にご執筆をいただくことができ,大変魅力的な特集となりました。
 特集以外にも,これまで同様に充実した記事を集めることができました。「目で見てわかる遺伝病」の神経内科編・第6回では「筋ジストロフィー」を,「Hot Topics」では「原因不明の重症新生児に対する迅速な遺伝子診断」と「NIPTを取り巻く最近の海外の動向」の二つの話題を取り上げました。遺伝性疾患や検査技術をシリーズで学ぶ「Learning」では「タナトフォリック骨異形成症」,「近年のPGT-Mの検査法について」の二つを,「Method」では「エピシグナチャー解析」を紹介いただいています。また,「Genetic Counseling」では「遺伝カウンセリングの潜在的クライエントを紹介に導くための取組み」として,実践的な内容を解説いただきました。「Ties 絆(当事者会,支援団体の紹介)」ではCMT友の会様にご執筆いただきました。「CGC Diary(私の遺伝カウンセリング日記)」のリレー執筆も継続しています。
 最後になりますが,本誌編集にご協力いただきました皆様に心より御礼申し上げるとともに,次号以降の本誌の発刊に関しましても引き続きご指導賜りますよう,どうぞよろしくお願い申し上げます。

令和6年11月23日
編集委員
愛知県がんセンター研究所
井本逸勢