編集後記

 通算47号復刊第22号を発刊できる運びとなりました。本号では,荻島創一先生(東北大学東北メディカル・メガバンク機構)と黒木陽子先生(国立成育医療研究センター)に特集「ゲノム医療におけるバイオバンクの役割とその利活用」のコーディネーターをお願いしました。東北メディカル・メガバンク機構長である山本雅之先生に巻頭言を,合計11名の先生方に9タイトルの記事をご執筆いただきました。ゲノム医療推進の観点からのご執筆をお願いし,バイオバンクを運営する立場の方々と利用する立場の方々の両方からご寄稿いただくことができました。本特集がわが国におけるバイオバンク利活用のさらなる促進につながることを期待しております。特集以外の企画でも,多彩な記事を集めることができました。まずは「目で見てわかる遺伝病」で神経内科編の第3回目として,遺伝性トランスサイレチン型アミロイドーシスを取り上げていただきました。ヒト遺伝子研究最新動向を学ぶResearchでは拡大新生児マススクリーニングを,遺伝性疾患や遺伝子関連検査をシリーズで学ぶLearning@,Aでは,もやもや病感受性遺伝子RNF213,臨床ゲノム診断における二次的所見報告に関するACMGガイドライン(2023年改訂版 v3.2)について解説していただきました。Method(研究手法)では畠野雄也先生ら(新潟大学)が独自開発されたミスセンスバリアント効果予測法「MOVA」について解説していただいております。認定遺伝カウンセラー®による「Genetic Counseling(実践に学ぶ遺伝カウンセリングのコツ)」とリレー記事「CGC Diary(私の遺伝カウンセリング日記)」もますますの充実ぶりとなっております。「Ties 絆(当事者会,支援団体の紹介)」はVici症候群患者家族会の運上佳江様にお願い致しました。 そして,ヒト以外の遺伝子に関する研究を紹介するNEXUSには,日下部りえ先生(関西大学)よりヤツメウナギから探る脊椎動物の進化研究についてご寄稿いただきました。このような多彩な内容の記事を含む本号の編集にご協力いただきました多くの皆様に心より御礼申し上げます。通算48号第23号以降もご指導賜りますよう引き続きどうぞ宜しくお願い申し上げます。

令和6年2月1日
編集委員
国立成育医療研究センター研究所周産期病態研究部
中林一彦