編集後記

 通算45号復刊第20号を発刊できる運びとなりました。本号では,熊坂夏彦先生(国立成育医療研究センター)と永江玄太先生(東京大学先端科学技術研究センター)に特集「統合オミックス解析」のコーディネーターをお願いしました。国内外の第一線でご活躍されている先生方にお声掛けいただき,著しく充実した内容の特集を組んでいただけましたこと,慶びにたえません。統合オミックス解析手法を取り入れたいとお考えの研究者の皆さんにとって有用な情報が満載された素晴らしいラインナップです。ロングリードシーケンス,シングルセル解析,空間トランスクリプトームなどの新技術も駆使した統合オミックス解析がすでに病因・病態解明のための手法として様々な疾患研究で活用されていることを読者に実感していただけるであろうと想像致します。特集以外の企画でも,多彩な記事を集めることができました。まずは「目で見てわかる遺伝病」で神経内科編の第一回目として,ミトコンドリア病を取り上げていただきました。遺伝性疾患や遺伝子関連検査をシリーズで学ぶLearningでは,脊髄小脳失調症,生殖細胞系列遺伝性腫瘍多遺伝子パネル検査を取り上げました。Method(研究手法)では福田篤先生(東海大学医学部)に,ご自身が開発された「ヒトES/iPS細胞におけるエピゲノム異常をゲノム編集によりレスキューする新技術」について解説していただいております。認定遺伝カウンセラー®によるリレー記事「Genetic Counseling(実践に学ぶ遺伝カウンセリングのコツ)」と「CGC Diary(私の遺伝カウンセリング日記)」もますますの充実ぶりとなっております。「Ties 絆(当事者会,支援団体の紹介)」はCowden症候群当事者会「ほっこり」を立ち上げられた井上奈緒美様・井上浩幸様にお願い致しました。そして,本号では二報の投稿論文(原著論文ならびに症例報告論文)を掲載できる運びとなりました。このような多彩な内容の記事を含む本号の編集にご協力いただきました多くの皆様に心より御礼申し上げます。通算46号復刊第21号以降もご指導賜りますよう引き続きどうぞ宜しくお願い申し上げます。

令和5年6月8日
編集委員
国立成育医療研究センター研究所周産期病態研究部
中林一彦