編集後記

 2023年が始まりましたが,COVID-19感染の国内での状況に関しては,まだまだ予断を許さない状況です。前回,一年前に通巻39号・復刊14号で書かせていただいた時と全く同じ文章で編集後記を始めなければならない中ではありますが,多くの皆様のご協力をいただき,通巻43号・復刊18号の遺伝子医学を発行できる運びとなりました。
 本号の特集は,「日本がリードする神経難病のゲノム創薬・ 遺伝子治療薬開発」です。コーディネーターには,藤田医科大学病院臨床遺伝科の池田真理子先生をお迎えしました。特集の執筆をお願いした先生方には,日本がリードする様々な神経・筋難病の治療薬開発に関する最新の研究開発状況をご紹介いただいております。遺伝性神経・筋疾患領域は,診断にとどまらず治療が可能な難病研究の先頭を走っていますが,この研究開発を日本がリードしていることは誇らしいことです。今後,さらに多くの疾患の治療法開発研究の進展を期待するものです。
 特集以外にも,これまでと同様,充実した記事を集めることができました。「Research(ヒト遺伝子研究最新動向)」として「原発性胆汁性胆管炎」を取り上げました。遺伝性疾患や遺伝子関連検査を知る「Learning」では,それぞれ「筋強直性ジストロフィー」,「がん遺伝子パネル検査の質保証」を取り上げています。「Hot Topics」では「スプレッドシートに代わる関係データベースの活用」を,「目で見てわかる遺伝病」では整形外科編の第4回として「濃化異骨症,マルファン症候群」を解説いただいています。ヒト以外の遺伝子に関連する研究を紹介する「NEXUS」では,「酵母とシステムバイオロジー:遺伝子発現量を正確に予測するAIを例として」を取り上げていただいています。
 「Genetic Counseling(実践に学ぶ遺伝カウンセリングのコツ)」では「連続して周産期死亡となった夫婦への遺伝カウンセリングを考える」を取り上げ,「CGC Diary(私の遺伝カウンセリング日記)」のリレー執筆も継続しています。
 最後になりますが,本誌編集にご協力いただきました皆様に心より御礼申し上げるとともに,次号以降の本誌の発刊に関しましても引き続きご指導賜りますよう,どうぞよろしくお願い申し上げます。

令和4年11月24日
編集委員
愛知県がんセンター研究所
井本逸勢