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最新創薬学2007
−薬物動態学特性の解析は創薬のキーワード−
編集: 杉山雄一(東京大学大学院薬学系研究科分子薬物動態学教室教授)

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要 旨
(第3章〜第5章)

第3章 薬物動態研究と毒性の評価,予測
概論ヒト毒性予測に向けての新規方法論 (池田敏彦)

医薬品開発における薬物動態および毒性研究は,探索段階と開発段階の2つの段階で実施されている。近年,開発に失敗する原因として薬物毒性の割合が上昇してきている。したがって,探索段階でヒトでの毒性がないと予想される化合物を選ぶことは重要な課題となっている。……
1. トキシコパノミクスと毒性評価・予測(トキシコゲノミクス,トキシコプロテオミクス,トキシコメタボロミクス) (堀井郁夫・山田 弘)

近年,創薬初期段階の安全性評価において,ゲノム→トランスクリプトーム→プロテオーム→メタボロームに続発した変化を網羅的に検出するトキシコゲノミクス・トキシコプロテオミクス・メタボロミクスの適応が試みられるようになってきている。このことは毒作用の生じる対応した臓器・細胞特有の変化が分子学的に捉えられることを意味し,……
2.

薬剤によるQT間隔延長および不整脈発現の予測 (山本恵司)

近年,医薬品による副作用として,QT/QTc間隔延長に伴う心室性不整脈誘発作用が注目され,その非臨床および臨床評価に関する国際ガイドラインが制定された。同時に,その発症メカニズムや予測に関する科学的知見も集積され,様々な実験系についてバリデーションが行われてきた。これらの実験系は,積極的に創薬研究のプロセスに組み込まれ,創薬の早期段階から副作用発現の予測に用いられるようになっている。……
3. 薬剤誘導性の副作用・毒性発現におけるトランスポーターの関与 (前田和哉)

通常,薬物が副作用・毒性を発現するためには,まず毒性発現の標的に薬物が十分量到達することが必須である。特に,全身性ではなく特定の部位で発現する毒性については,局所の濃度を制御する分子も毒性発現の程度の決定因子になりうる。薬物トランスポーターは生体内のあらゆる臓器に発現しており,能動的な取り込み・排泄を通じて各部位の濃度を厳密に制御している。……
第4章 薬物動態・製剤研究者と医薬品化学研究者のフィードバック
概論ADMET in silico 予測に基づく創薬 (多田幸雄)

医薬品化学研究者(メディシナルケミスト)の役割は,期待される薬理効果のみならず,良好な薬物動態特性と高い安全性を有する「薬」としての化合物を創製することである。そのためには,創薬の初期段階から薬効とともに化合物の吸収,分布,代謝,排泄,および毒性(ADMET)を考慮し,薬として備えているべき性質,いわゆる「薬らしさ= druglikeness」をメディシナルケミストは化合物に付与しなければならない。……
1. リード最適化と動態・物性 (松岡宏治)

薬剤はターゲットのタンパク質などと相互作用し薬効を発現するが,その前にターゲットまで到達しなければならない。そのためには,水溶性・腸管透過性・代謝安定性・タンパク結合などの様々な動態・物性関連の因子を考慮してメディシナルケミストは化合物を設計・合成する必要がある。創薬における動態・物性研究は非常に重要である。……
2.

ADMET予測におけるインフォマティクスの役割 (清水 良・中尾和也・高橋 芳・鳥海 亙)

これまで蓄積されてきたADMET(absorption, distribution, metabolism, excretion, toxicity)データからナレッジが抽出され,様々な予測ルールが構築されてきた。最近では,創薬研究の早期段階から,これらナレッジや予測ルールを積極的に取り入れ,分子設計に役立てようという気運が高まっている。メディシナルケミストが容易に分子設計に活用できるように,われわれは比較的予測精度の高い物性予測ソフトを導入し,一括して情報提供する予測システムを構築した。……
3. 動態特性のin silico 予測 (山下富義)

コンピュータによる動態特性のin silicoスクリーニングは,医薬品開発段階で問題となる不適切な候補化合物を未然に排除することにより創薬研究全体の効率化を実践する手法として高い期待を集めている。その基本的なアプローチは,分子構造から分子自体が有する電気的・立体的・疎水的性質を示す分子記述子を計算し,予測対象となる動態特性との関係を多変量解析により解析するものである。……
4. トランスポーターの3D-QSAR解析
Ligand-Based Drug Design手法からのアプローチ (広野修一)

医薬品開発の初期の段階から薬物動態の最適化を考慮することは,創薬の効率化のうえで重要である。薬物トランスポーター群は,消化管,脳,肝臓,腎臓など様々な組織の細胞膜上に発現して,薬物の輸送に重要な役割を果たしているため,トランスポーターリガンドの三次元ファーマコフォアを同定し,トランスポーター-リガンド相互作用を解析することは,現代の合理的医薬品開発におけるキーポイントである。……
5. QIDSMの考え方,提唱 (設楽悦久)

膨大な化合物の中から,理想的な体内動態特性,高い薬理活性を有しており,なおかつ副作用の可能性が低いものを選び出す手法として,QIDSMという方法を提唱する。この方法では,複数ある医薬品候補化合物に対するそれぞれの体内動態特性や薬理活性などを評価するためのそれぞれのスクリーニングの項目で優れた点があったものを選び出すのではなく,……
第5章 前臨床から臨床へのトランスレーション
概論非臨床データから臨床データへのブリッジング (樋坂章博)

非臨床から臨床へとデータをブリッジングする方法には,大別してモデル依存的方法とアロメトリック法がある。モデル依存的方法はより複雑だが,例えば代謝酵素に遺伝子多型があるなど条件が変化した場合でも科学的根拠に基づく予測が可能という特質をもつ。現在の医薬品開発戦略は一般に多くの患者に効果を示す薬を優先するものであるが,今後は限定した患者に明確な薬効を示すタイプへと重点が移ると予想される。……
1. 体内動態個人差のメカニズム -代謝酵素(遺伝子多型,多型以外のメカニズム) (家入一郎)
薬物代謝能の個人差を規定する遺伝子情報には,塩基配列の違いとして認識されるものと認識が困難なものがある。前者は遺伝子多型として臨床応用されている。後者にはアレル不均等発現やメチル化が含まれ,エピジェネティクスと呼ばれる。CYP3A4やCYP1A2遺伝子発現が例として挙げられる。さらに最近では,遺伝子発現制御機構としてCNV (copy number variant)やRNA干渉であるmiRNAの存在が指摘される。……
2.

体内動態個人差のメカニズムトランスポーター (前田和哉)

薬物の体内動態を決定する要因として,代謝酵素に加えてトランスポーターの役割がクローズアップされるにつれ,代謝酵素と同様,トランスポーターの遺伝子多型についても薬物動態・薬効・副作用の個人差を生み出す原因になりうるということで,解析が進められてきた。現時点では,複数の臨床研究をもって,特定の遺伝子多型が各薬物の体内動態に与える影響について統一した見解が得られているものは数少ないが,……
3. ゲノム情報を基盤としたタクロリムス体内動態解析と個別化免疫抑制療法への応用 (福土将秀・乾 賢一)

臨床における薬物動態(PK:pharmacokinetics)の個体間・個体内変動機序を解明することは,薬物治療の個別化を推進するうえで重要である。近年,薬物動態や薬効,副作用の個人差のメカニズムについて,ゲノム(genome)のレベルで解明することをめざすファーマコゲノミクス(pharmacogenomics)研究が進展しつつある。……
4.

臨床薬物動態の実践,トランスレーショナルPK/PD研究ワルファリン (高橋晴美・越前宏俊)

ワルファリンの投与量に認められる大きな個人差には体内動態と感受性の個体差が関与している。ワルファリンの体内動態の個体差には肝代謝活性,すなわち主代謝酵素であるCYP2C9活性の個人差が影響している。ワルファリンの肝代謝活性低下の原因の1つとしてCYP2C9*3変異が関与しているが,この変異のみでは日本人のワルファリンの肝代謝活性の個体差の4%前後を説明できるにすぎない。ワルファリンの感受性の個体差には……

5. バーチャルクリニカルトライアル (加藤基浩)

薬物の体内動態に大きな個体差が存在することが知られており,効果あるいは毒性の発現も個人により異なっている。薬物を効率的に開発あるいは適正使用するためには,薬物動態の個体差を予測するシステムを構築することが必要である。……
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