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最新創薬学2007
−薬物動態学特性の解析は創薬のキーワード−
編集: 杉山雄一(東京大学大学院薬学系研究科分子薬物動態学教室教授)

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要 旨

(第1章、第2章)

総論前臨床における薬物動態研究の役割 (杉山雄一)

要旨なし
第1章 薬物吸収の予測
概論消化管吸収の予測 (山下伸二)

医薬品の消化管吸収性は,主として溶解性,膜透過性および安定性(化学的および生物学的)によって決定される。最近では,ほとんどの製薬企業において,新規化合物の溶解性をはじめとした物理化学的性質,また膜透過性,代謝安定性などの基本的な動態特性に関するin vitroでのスクリーニングが行われている。……
1. 消化管吸収における薬物トランスポーターと代謝酵素 (玉井郁巳)

消化管には異物の侵入を防ぐための生体防御機構として排出トランスポーターと代謝酵素が備わっている。したがって,それらの寄与を見積もることが多くの化合物を扱う場合においては大事になる。一方,消化管には栄養物摂取のための多彩な選択的トランスポーターが備わっており,薬物がそのトランスポーターを介して輸送されるならば,高い吸収が期待できることになる。……
2. 消化管吸収に影響する機能性製剤添加物 (森下真莉子)

製剤添加物は,従来より医薬品の品質,有効性および安全性を確保するための重要な役割を果たしている。一方,製剤添加物の中には,可溶化,徐放化,腸溶化,滞留性などの高機能を製剤に付与するだけでなく,生体膜構成成分に影響してバイオアベイラビリティを改善するなどの新たな機能が見出されるものがあり,添加物の新しい使い方を工夫する時代に入った。……
3. 人工膜を用いた受動拡散消化管膜透過性の評価 (菅野清彦)

受動拡散によるリン脂質二重膜透過は,消化管膜透過性を決定する重要な因子である。近年,オクタノール分配係数よりも正確にリン脂質二重膜透過性を反映し,なおかつ迅速・簡便・低コストな測定法として,人工膜を用いた様々な測定法が開発された。……
第2章 薬物クリアランス(代謝取り込み排泄)および組織移行特性の予測
概論in vitro からin vivo への予測および探索研究における重要性 (楠原洋之)

医薬品(候補化合物も含めて)のin vivoにおける薬理応答には,標的タンパクへの曝露量・曝露時間を決定する体内動態的要因も重要である。適当な体内動態を有する化合物の選別にヒト組織を用いたin vitro /in vivoスケーリングの方法がとられており,成果を挙げている。平均的な体内動態特性だけではなく,個人間変動の小さい薬物を開発することが必要である。……
1.代謝特性,クリアランス,相互作用の予測
1) ヒト肝細胞を用いた予測とデータのばらつきについて (大野泰雄)

ヒト肝細胞を用いた研究は基本的に肝細胞内のすべての代謝過程を検討でき,ヒトでの薬物動態を予測するうえで極めて有用である。一方,ヒト肝細胞標本には大きなロット差が存在する。これが個人差や標本の調製・保管過程の差を反映するのかは不明である。……
2) 代謝的安定性,初回通過代謝の予測 (成富洋一)

創薬段階においてヒト代謝的安定性,初回通過代謝の予測は重要であり,そのためには肝代謝クリアランスの予測が必要となる。肝代謝クリアランスの予測については,in vitro-in vivo scalingが考案・適用されてきた。しかしながら,創薬の現場では予測が困難な場合や予測法が適用しにくい場合など様々な問題点もある。……
3) 腸肝循環の考え方と重要性 (加藤基浩)

薬物が肝臓から未変化体あるいは代謝物として胆汁へ排泄され,さらに消化管から再度吸収され体循環に再び現れる現象を腸肝循環という。腸肝循環を受ける薬物は,複数の血漿中濃度のピークを示す特徴的な血漿中濃度推移を示すことがあるため,通常の薬物動態解析では解析できない。……
4) 薬物代謝酵素代謝モデル (山添 康)

これまでから薬物の代謝を予測したいという願望は,動物種差の克服,ヒト酵素発現系の開発の原動力となってきた。これら研究の進展は,今,「酵素標品を用いずに既存知識・情報を利用して代謝を知りたい」という希望をかなえるための,in silico手法の開発研究に向かっている。X線結晶解析によるヒト薬物代謝酵素,ことにチトクロムP450の立体構造の解明が,三次構造モデルの作成と検証を可能にしたことが進展の背景にある。……
5) 代謝における相互作用の予測 (伊藤清美)

薬物間相互作用の主要なメカニズムである薬物代謝阻害に基づく相互作用をin vitro試験の結果から定量的に予測する方法論について,様々な検討が行われている。代謝酵素の競合・非競合阻害に基づく相互作用については阻害薬濃度と阻害定数との比からある程度評価することができるが,相互作用を過小評価しないためには消化管からの吸収を考慮した肝臓入口における阻害薬濃度を用いる必要がある。……
6) コンピュータを用いた薬物間相互作用の定量的予測 (設楽悦久・加藤基浩・堀江利治・杉山雄一)

コンピュータプログラムにより,薬物間相互作用による体内動態変化のシミュレーションを行うことで,相互作用の有無を予測する試みを行った。代謝過程の競合阻害によって生じる薬物間相互作用については,定量的に予測するための各種のパラメータを算出し,それらを用いることで良い予測結果が得られた。……
7) 代謝誘導の評価 (内藤真策)

薬物代謝酵素が誘導を受けると薬効あるいは毒性プロファイルが変化し,医薬品の有用性と安全性に影響を与える。誘導作用はヒト肝細胞を用いた検討が一般的であり,典型的な誘導薬を陽性対照にして薬物を曝露し,典型基質の代謝反応から誘導を予測する。さらに,高感度な検出法として代謝酵素のmRNA発現量による評価も可能である。……
8) 代謝酵素およびトランスポーターの誘導機構と予測 (転写因子による制御) (小林カオル・千葉 寛)

薬物代謝酵素および薬物トランスポーターの誘導の多くは遺伝子の転写活性化によるものである。転写活性化は,主に標的遺伝子の5'上流領域に核内レセプターを含む転写因子(AhR, PXR, CARなど)が結合することに起因する。また,HNF4により転写活性化作用が相乗的に増強することも報告されている。……
2.肝臓,腎臓での取り込み,排泄クリアランス,相互作用の予測
1) 肝取り込み,排泄の予測 (前田和哉)

肝臓は,薬物にとってメインの消失臓器の1つであるため,旧来よりin vitro実験からヒトin vivoにおける異物解毒機能の予測を試みる研究が,CYPなど代謝酵素を中心に進められてきた。そのなかで近年,肝臓には複数のトランスポーターが血管側・胆管側に発現しており,それぞれ血液からの取り込み・胆汁中への排泄に寄与していることが明らかになるにつれて,体内動態の予測を行ううえでトランスポーターの存在を無視できなくなってきた。……
2) 肝における輸送体のソーティング調節 (伊藤晃成・鈴木洋史)

肝細胞におけるベクトル輸送は輸送体の非対称分布がその分子基盤であり,膜表面での輸送体発現変動は薬物の輸送方向性,すなわち肝における薬物処理能力に影響を与える。実際に薬物処理および先天性・後天性の要因により輸送体の膜表面での発現が変動し,その結果として基質薬物の体内動態変動,もしくは疾患そのものの発現に至ることがわかってきた。……
3) 薬物輸送を制御するアダプタータンパク質 (加藤将夫・内海理恵・辻 彰)

これまでのトランスポーター研究は,トランスポーター自身の発現や機能に着目し,医薬品開発や適正使用における重要性を示してきた。一方,トランスポーターと直接相互作用する裏打ちタンパク質(アダプター)は,細胞膜に局在するトランスポーターの足場として,細胞膜での安定化や輸送駆動力を供給する他の膜タンパク質との共局在を促すとともに,トランスポーターの細胞膜へのソーティング,細胞膜での発現量の増加,基質輸送の効率化などへの関与が示唆され,近年研究が進められている。……
4) 腎臓における薬物輸送の機能評価 (楠原洋之)

医薬品の尿中排泄は,糸球体濾過と尿細管分泌による管腔側への排出と管腔側からの再吸収の3つの過程の総和で決定される。近位尿細管で行われる尿細管分泌と再吸収過程にはトランスポーターが関与しているため,発現する分子種,基質認識性や輸送活性の種差は,動物実験からのヒト体内動態の予測性を低下させる。……
5) 輸送における薬物間相互作用 (設楽悦久)

90年代より,薬物の膜透過に関与する薬物トランスポーターがクローニングされ,その実態が明らかになってきたのに伴い,薬物動態におけるそれらの重要性が認識されてきた。そのような背景で,薬物トランスポーターを介した膜透過過程で生じる薬物間相互作用について研究が行われ,多くの報告がなされつつある。……
6) 薬物トランスポーター情報統合データベースTP-search (前田和哉・楠原洋之・杉山雄一)

薬物トランスポーターに関する研究の急速な進展により,情報が氾濫しているのが現状であるが,一方でトランスポーターが薬物動態に重要な役割を果たす事例も多く知られてきており,創薬・臨床医療において無視できない存在になってきている。そこで,薬物トランスポーターに関して欲しい情報を容易にウェブ上で検索できるような情報統合データベース「TP-search」を構築した。……
3.薬効組織(脳,腫瘍)への輸送特性の評価
1) 血液脳関門の透過性の評価 (寺崎哲也・大槻純男・上家潤一)

中枢作用薬の臨床試験の成功確率は8%と極めて低い。脳には,血液脳関門と血液脳脊髄液関門が存在し,異物の侵入が著しく制限されていることが,その主な原因である。したがって,中枢作用薬開発の成否は候補化合物の脳関門透過性に大きく依存し,これを評価することは非常に重要である。近年,種々の手法が開発されたが,万能の手法は存在しない。……
2) 腫瘍細胞における薬物輸送 (色川正憲・玉井郁巳)

腫瘍細胞には基本的には正常組織と共通したトランスポーターが発現しているが,その発現量が変動し,より高い発現を示す場合がある。このような腫瘍細胞に発現するトランスポーターを利用した化学療法が期待できる。その手法としては,腫瘍細胞への栄養物供給に働くトランスポーターを抑制する兵糧攻めや,トランスポーターを利用した抗癌剤の細胞内への選択的デリバリーが考えられる。一方,……
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