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序章:患者まで届いている再生誘導治療(田畑泰彦)
要旨なし
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第1章 細胞増殖のためのバイオマテリアルの利用
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1.足場
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1) |
皮膚真皮 (武本 啓・鈴木茂彦)
コラーゲンスポンジとシリコンシートからなる2層性人工真皮は,すでに臨床応用されている。この人工真皮を皮膚全層欠損創に貼付すると,2〜3週で真皮様組織が形成され,通常はこの上に植皮を行う。この方法は確立されたものであり,非常に有用である。しかし,治療に時間を要するという問題点がある。……
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2) |
食道・気管 (中村達雄)
胸部外科領域での夢の1つである食道・気管の再生治療の現状と,それに使われるバイオマテリアルについて述べる。食道領域では動物実験が進んでいるものの,2009年時点では臨床応用には至っていない。気管領域では組織再生の足場となるコラーゲンを生体内に置くin situ Tissue Engineering の手法で,自己組織を再生させることが可能になり,……
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3) |
硬膜:生体組織置換型人工硬膜の開発 (山田圭介)
脳神経外科開頭手術の際生じる硬膜欠損の自己再生をめざして,組織置換型人工硬膜を開発した。生体吸収性高分子材料を組み合わせることにより,自己硬膜様組織が再生するのにしたがって,徐々に吸収されるように分解速度を調節した。また,生体硬膜と直接縫合して使用するため,力学的特性も生体硬膜に似せた設計を行った。……
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4) |
顎骨・歯周組織:口腔顎顔面領域 (高戸 毅・西條英人)
口腔顎顔面領域では,失われた組織を人工物などで修復・補綴する医療が従来より行われてきた。これらの医療が確実に行われるためには,その土台となる顎骨や歯周組織の存在が必須である。これらの組織が不十分な場合には,十分に噛めなかったり,喋りにくかったり,また審美的な問題も抱え,機能回復に障害を残すこととなる。……
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5) |
形態と機能再建を目的とした顎骨再生のためのバイオマテリアルの応用 (鎌田伸之・武知正晃)
種々の口腔疾患などにより,歯と顎骨の欠損をきたすことは少なくない。これに対する顎骨再生治療のゴールは,顎骨の形態と咬合・咀嚼機能の回復である。そのためには,良好な生体親和性と骨伝導能をもち,CAD/CAM
技術により患者特有の顎骨形態が付与され,その形態の長期的な維持が期待でき,周囲骨と一体化した後には……
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6) |
顎骨・歯周組織:歯槽骨・顎骨 (嶋田 淳)
骨が形成される過程で人工材料は骨伝導能を有する。われわれの研究室でビーグル犬による骨欠損の修復を骨補填材としてβ-TCP
とPRP を用いて行った研究から,この材料と方法は安全性が高く,骨再生を確実に促進することが示された。……
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7) |
顎骨・歯周組織:自家象牙質移植による骨再生医療 (村田 勝・赤澤敏之)
「歯で骨を再生する」臨床研究が日本で進行している。歯と骨の成分は類似しており,コラーゲンやアパタイト,骨形成タンパク質などで構成され,骨・軟骨を誘導することが知られている。本稿では,インプラント埋入のための骨造成を目的とした世界初の自家象牙質即時移植症例と新規治療を支援する2
装置を紹介する。……
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8) |
骨 (玉井宣行・吉川秀樹)
リン酸カルシウムセラミックス人工骨の歴史はわずか20年あまりであるが,確実に進化を遂げ,現在では第二世代人工骨が臨床の様々な場面で活躍しつつある。本稿では,それら第二世代人工骨の特徴,動物実験から臨床応用までを紹介し,これらの人工骨は移植母床に存在する骨形成細胞による骨欠損修復の足場となる……
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2.再生部位確保膜
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1) |
末梢神経損傷に対するPolyglicolic acid-Collagen tubeを用いた生体内再生医療
-効用から効果への治療のエビデンス確立へ向けて-
(稲田有史・中村達雄・市原理司・諸井慶七郎・橋爪圭司・古家 仁・森本 茂)
PGA-C tube を用いた生体内再生治療において,ある種のCRPS type II に対して,PGA-Ctube
を用いた損傷神経の生体内再生神経再建は現在,実験的研究,劇的な数例の臨床成功例の発表から,多数例の検証過程へと進んでいる。一方で,人工神経誘導管は全世界で多種類にわたって開発・報告され,
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2) |
歯周組織(GTR) (春日井昇平)
歯根の表面にはセメント質という石灰化組織,セメント質と歯槽骨の間には歯根膜という線維性の結合組織が存在する。歯根膜線維はセメント質と歯槽骨に埋め込まれており,歯は歯槽骨内に固定されている。歯を支える歯槽骨,歯根膜,セメント質を歯周組織といい,歯周炎によって歯周組織は破壊される。……
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