編集後記

 COVID-19パンデミックによる初めての緊急事態宣言からすでに1年を超えましたが,いまだ収束の兆しが見えず,不安な日常が続いております。そのような中でも多くの皆様のご支援により通算37号復刊第12号の遺伝子医学を発行できる運びとなりました。
 本号の特集は,「新生児マススクリーニングと治療の最前線」です。特集コーディネーターは熊本大学大学院生命科学研究部小児科学講座教授の中村公俊先生にお願いいたしました。すべての新生児が標準的に受ける新生児マススクリーニングは,あまり意識されませんが,最も身近な遺伝学的検査でもあります。近年はその対象疾患も広がりつつあると同時に治療法の発展も著しく,それぞれの専門を代表する立場の先生方にご執筆いただきました。
 特集以外ではResearch(ヒト遺伝子研究最新動向)として「Oligogenic Inheritance」を取り上げ,遺伝性疾患や技術をシリーズで学ぶためのLearning,Lecture,Method,Technologyもこれまで同様に充実した記事を集めることができました。「目で見てわかる遺伝病」は皮膚科編の第3回として「結節性硬化症」を取り上げていただきました。「Genetic Counseling(実践に学ぶ遺伝カウンセリングのコツ)」では治療と並行して進む遺伝カウンセリングという視点を,「CGC Diary(私の遺伝カウンセリング日記)」では遺伝カウンセラーによる遺伝カウンセラーの教育について取り上げていただきました。「Ties 絆(当事者会,支援団体の紹介)」はMEN(多発性内分泌腫瘍症)患者と家族の会であるむくろじの会様にご執筆いただきました。最後になりますが,本誌編集にご協力いただいた皆様に心より御礼申し上げるとともに10月発行予定の第38号復刊第13号以降もご指導賜りますよう引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。
令和3年5月19日
編集幹事
京都大学医学部附属病院遺伝子診療部
山田崇弘