編集後記

 この度,遺伝子医学の復刊第7号を発行できる運びとなりました。
 本号では,「遺伝性疾患治療の最前線」を特集のテーマとしました。特集コーディネーターは東京大学大学院医学系研究科神経内科学 教授の戸田達史先生にお願いいたしました。近年急速に進んだ遺伝性疾患の原因遺伝子解明とともに,これまで有効な治療法がなかった疾患へ新たな治療への道が拓けてきました。代謝性疾患,神経筋疾患,骨系統疾患など幅広い疾患と治療法をそれぞれの専門を代表する立場の先生方にご執筆いただきました。
 特集以外ではiPS細胞を使用した創薬研究を扱ったHot Topics(話題),遺伝性疾患や技術をシリーズで学ぶためのLearning,Lecture,Method,Technology,Statistical Geneticsもこれまで同様に充実した記事を集めることができました。巻頭の「目で見てわかる遺伝病」の耳鼻科編も3回目となりましたが,今回は「POU3F4 変異(X連鎖性非症候群性遺伝性難聴DFNX 2)の内耳奇形」を取り上げていただきました。ヒト以外の遺伝子に関する研究を連載するNEXUSでは,今回は人の遺伝学を中心に診療や研究をしていると接することの少ない「マラリア原虫の遺伝子転写制御」という非常に貴重な原稿をご執筆いただきました。遺伝カウンセリングのシリーズでは,本号では遺伝カウンセラーの位置づけとして「遺伝の視点をもつジェネラリストというスペシャリスト」というユニークな切り口(Genetic Counseling)のほか,これからのキャリアパスの参考になる企業に勤務される認定遺伝カウンセラー® の働き方(CGC Diary)についてご執筆いただきました。本誌編集にご協力いただいた皆様に心より御礼申し上げるとともに第8号以降もご指導賜りますよう引き続きどうぞよろしくお願い申し上げます。

令和2年2月22日
編集幹事
京都大学医学部附属病院遺伝子診療部
山田崇弘